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研究代表挨拶

中国拠点研究代表 岩本愛吉教授 東京大学医科学研究所(医科研)は、文部科学省の支援を受けて、2005年度から北京市2拠点、ハルビン市1拠点において、感染症に関する日中共同研究を推進しています。第1期5ヵ年(2005〜2009年度)は、「新興・再興感染症研究拠点形成プログラム」として、全く新たな医科研の海外拠点活動を中国国内で立ち上げ、友好的かつ充実した共同研究を実行しました。2010年度以降は「感染症研究国際ネットワーク推進プログラム」として、継続的かつ将来性のある国際共同研究を推進しています。

中国科学院(Chinese Academy of Sciences: CAS)は、中国全土に約100の様々な使命を持つ研究所を統括する大きな国家研究機関です。我々は、CASの協力により北京市にある中国科学院生物物理研究所(IBPCAS)と中国科学院微生物研究所(IMCAS)の中に日中共同研究室を設置しました。IBPCASには第1期目から引き続き松田善衛特任教授が、IMCASには石田尚臣特任准教授が赴任し、日本人スタッフや中国人若手研究者とともにHIVや肝炎ウイルスなどをテーマとした研究を行っています。ハルビン市では、中国農業科学院ハルビン獣医研究所(HVRI)において、医科研の河岡義裕教授とHVRIの陳化蘭教授が高病原性鳥インフルエンザに焦点を当てた共同研究を行っています。これら中国における活動を支えるために、林光江特任教授を中心に北京市にプロジェクトオフィスを運営しています。第2期目からは、中国南部の中山大学、雲南省CDCや北京協和病院との実質的な研究連携が始まっています。

中国は巨大な人口を持つ広大な国です。沿海部の主要都市を中心に経済の発展が著しい一方、途上国としての側面も持っています。2003年に、中国で発生した重症急性呼吸器症候群(SARS)が世界中に大パニックを起こしました。H5N1亜型の高病原性鳥インフルエンザ、HIV感染症など、新たな感染症(新興感染症)のほか、肝炎や結核等従来から存在する感染症(再興感染症)も重要な課題です。中国は歴史的にも地理的にも文化的にも日本にとって最も重要な隣国の一つです。日本人研究者が長期的に中国に常駐し、中国の研究者と共に感染症に立ち向かい、日中双方の若手研究者を育成し、研究成果を世界に発信するよう努めます。さらに共同研究活動を通じて日中友好にも貢献したいと思います。皆様の温かいご支援をよろしくお願いいたします。
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